ひっそりと

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▲Yan Yan?▲

出勤の際にバス停の横に並ぶ新聞売りのスタンドで、その日の新聞の一面を眺めて世間の流れについていく努力を一応行なっています。日々色々なところで色々なことが起っているため、色々な新しい記事が当然毎日目に入ってくるわけですが、繰り返し報じられているニュースも中にはあります。現在のドイツでそのもっともたる例はZoologischer Garten Berlin(ベルリン動物園)のホッキョクグマの子供、Knut(クヌート)の話題ではないでしょうか。日本でも話題になっていると聞きました。

2006年12月5日に生まれたKnutですが、母親のTosca(トスカ)が育児を放棄したため、飼育係が人工飼育で育てています。その行為について動物愛護家・団体から自然の掟に反しているとして反対意見と殺処分が提案され、マスコミがそれに飛びついて一斉に報道したため、Knutは瞬く間に時の人ならぬ時のクマとなってしまいました。2007年3月23日から一般公開され始めたのですが、たちまち動物園前にはKnutを一目見ようと、長い長い行列ができました。私も3月26日に動物園前を通りましたが、確かにドイツでは滅多にお目にかかれない程の長い行列が出来ていました。経済効果は百数十億円とも言われ、動物園の株価を数週間で2倍にしてしまうほどの影響をKnutは与えています。

自然の掟どうのこうのという理由は個人的には受入れがたい気もしますが、ホッキョクグマの人工飼育はかなり難しいらしく、成功例は日本の愛媛県立とべ動物園で育てられているピースが挙げられるのみらしいです。そう考えると、動物愛護家・団体の指摘はあながち間違いではないのかとも思います。ただ、私はせっかく生まれてきた命ですから、自然の掟に反するとしても育ててみるのも良いのではないかと思います。あくまでも素人の意見ですが。

Knutの話が長々と続いたので、Knutのエントリーかとお思いでしょうが、書きたいことは別にあります。それはKnutと同じ動物園で飼育されていたパンダの艶艶(Yan Yan/イェンイェン)の事です。

艶艶はベルリンの動物園で飼育されていた2頭のパンダのうちの1頭です。ドイツにはパンダが2頭いました。つまりこのベルリンの動物園で見ることの出来るパンダが、ドイツでは唯一のパンダたちなのでした。ヨーロッパに限っても、パンダが見られるのはベルリンのこの動物園とオーストリアの首都Wien(ウィーン)にあるTiergarten Schönbrunn(シェーンブルン動物公園)の2頭のパンダに限られます。3つの動物園で11頭のパンダを見ることの出来る日本とは大きな違いです。

その艶艶ですが、私が動物園の前を通ったその日、3月26日に動物園の檻の中でひっそりとなくなっているのが見つかったと、泊まったホテルで見たTVで放送されていました。22歳だったそうです。Kuntが一般公開されて盛り上がっている最中、ひっそりと亡くなった彼女のニュースを見て、悲しくなりました。

艶艶は1995年にすでにベルリンの動物園にいた雄のパンダ、宝宝(Bao Bao/バオバオ)のお嫁さんとして北京から嫁いできました。繁殖などが期待されましたが、結局その期待には応えられることはなく、2世は誕生していません。艶艶とは中国語で美しいという意味らしいです。

私が昨年動物園を訪れたとき、艶艶は屋内の飼育場で寝ころんでいました。ここの飼育場は鉄格子の柵ではなく、強化ガラスのようなもので区切られているので、機会があれば写真のようにガラス一枚隔てたすぐ側でパンダの様子をうかがうことが出来るのが特徴です。私の時は写真のように本当にガラスのすぐ向こうで、何をするわけでもなくただずっと寝ていました。当時は冗談ですが死んでいるのではと思うぐらい、みごとに微動だにしませんでした。

日本の動物園のパンダは人気者です。しかしベルリンの動物園ではクマやカバの方がパンダより人気があるように思います。私が訪れたときも、ここでパンダを見ていたのは私と友人だけでした。なので、ここではじっくりと落ち着いて宝宝と艶艶を見ていることが出来ました。

パンダの平均寿命は34歳とのこと。艶艶はまだ22歳でした。亡くなる直前まで特に体調には異常は見られなかったようです。一部ではKnut目当てに駆けつけた大勢の客が、Knutを見られないときにパンダを見に行ったため、それがストレスでなくなったのではないかという報道も見られました。人間で言うと中年で、まだまだこれからという時期だっただけに残念です。

残された宝宝は29歳。動物園で飼育されているパンダとしては世界最高齢の宝宝。これからはドイツ唯一のパンダになってしまうわけですが、艶艶の分も彼にはまだまだ長生きして欲しいものです。

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