
| 八方にらみねこ 新装版 | |
|---|---|
| 著者 | :武田英子 |
| 作画 | :清水耕蔵 |
| 出版社 | :講談社 |
| 出版年月日 | :2003年1月20日 |
| ISBN | :978-4-06-132265-3 |
| 定価 | :1890円(税込み) |
| 第19回ボローニャ 国際児童図書展エルバ賞 |
|
| 第4回絵本にっぽん賞 | |
| 講談社 創作絵本ベストセレクション | |
「八方にらみねこ」を読みました。今回読んだのは1981年に出版されたものの新装版です。炎を現わす真っ赤な背景の中に、大きく目を「かっ」と見開いて口をぎゅっと結んで座っている猫の絵がとても印象的な表紙の絵本です。
※以下、本の紹介に入りますのでまだ読まれていない方はご注意を。
おかいこを、ねずみから守るため!
捨てねこだった子ねこを拾ってくれた、ばあさとじいさ。
恩返しのつもりで、おかいこをねずみたちから守ろうとしても、ちびねこのみけでは力不足。
みけは「八方にらみの術」を会得するために、山に修行に入りますが!?
内容については講談社による紹介文の通りです。心優しい「ばあさ」と「じいさ」に拾われた捨てねこ「みけ」が、その恩返しのために奮闘する物語です。二人の生業である養蚕にとって、問題となっているねずみから蚕を守ろうとするものの、ねずみたちにバカにされただけでみけは失敗してしまいます。落ち込んだみけは心機一転「やまねこさま」の元で修行して、「八方にらみの術」を会得します。そして最後はその八方にらみの術でもってねずみたちをやっつけてしまうというお話です。
私はこの絵本では、内容よりも清水耕蔵さんの絵がとても印象に残りました。表紙もそうですが、修行する場面で描かれているみけからは、その顔つきが変化して成長している様子が良く見て取れます。赤と黒というに色を基調としたシンプルな画面ですが、それだけに余計に力強さが引き立っているように思いました。
またみけが最初に登場する場面、そしてみけが山に修行に行く場面の描写も印象に残っています。それらの場面では、少しひいた遠くから場面が捉えられており、みけは画面の端のほんの僅かなところにしか描かれていないのです。しかしながらそれが逆にみけの寂しさであるとか、みけのこれから修行に行くことに対する不安、決意などが良く感じられるのです。
著者の武田英子さんは、養蚕の苦労を現代にも伝えようとして物語を書いたと記されています。実際化学繊維が全盛の今、蚕の存在すら知らない人も増えてきたのではないでしょうか。なので、この絵本の内容は取っつきにくい部分があるかもしれません。しかしながら、逆にこの絵本で養蚕という事を知り、それについて興味を持つこともあるかもしれません。子供達にとっても、また大人達にとっても、自分たちが知らなかった世界を絵本を通じて知ることが出来るというのは、意義のあることではないでしょうか。
表紙のみけのような力のこもった目をしているだろうか?一度失敗してもそれをバネにがんばれる人(このばあいみけなのでねこですが)であるだろうか?ばあさとじいさのように、人の失敗を許せる心の広い人間であるか?そのように登場人物とを自分とを重ね合わせながら、私自身はこの本を読み進めました。
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