「Web 2.0」という言葉に代表されるように、Web上においてある情報が発信者から受取側への一方的な流れに固定されるというスタイルは過去のものになりつつあるように思われます。Wikipediaやmixiなどは「Web 2.0」の代表例でしょうか。
そんななかこのブログは時代に逆らうかのように「Web 1.0」的なスタイルを取っています。いや、別段好んで取っているわけではないのです。しかしトラックバックやコメント投稿というブログのメリットを何も生かしていないのは事実です。
そんな「Web 1.0」世代的な人間である私は、メールマガジンという媒体を利用しています。発信者がメールを通じて定期的にある情報を流し、これを講読希望者が受け取って読むというものです。これも情報の流れが発信する人間と受け取る側の人間との間で固定されています。
私が主に講読しているのは、美術館の発行するメールマガジンです。現在はMünchen(ミュンヘン)にあるAlte Pinakothek(アルテ・ピナコテーク)、Neue Pinakothek(ノイエ・ピナコテーク)、Pinakothek der Moderne(ピナコテーク・デア・モデルネ)の3つのPinakothekが発行するメールマガジン、同じくMünchenにあるLenbachhaus(レンバッハハウス)のメールマガジンを講読しています。また日本のものでは岡山県倉敷市にある大原美術館のメールマガジンなどを講読しています。全部で10館ぐらいのメールマガジンになるでしょうか。
美術館のメールマガジンを講読するメリットはいくつかあります。特別展の案内や、常設展の展示替えの案内などは私にとって重要な情報であります。それを元に美術館を訪れる計画を立てたりもしますから。またメールマガジンによっては学芸員の方の裏話やちょっとした世間話が読めるものもあり、それも楽しみのうちの1つであります。裏方である学芸員さんの話が聞けるという機会は、あまり多いとは言えないですからね。
さて最近私が新しく講読し始めた美術館のメールマガジンに、愛媛県の東温市にある高畠華宵大正ロマン館発行のものがあります。まだできたてほやほやで、2007年7月6日に第1回目が発行されました。
私自身はこのメールマガジンが発行されたことは知りませんでした。しかし先日恩師がわざわざ日本からドイツに訪ねてきてくださった際にこのメールマガジンの話題になり、そしてその存在を知ることになりました。しかも恩師は存在を知らなかった私のために、このメールマガジンの発行者に連絡を取ってくださり、その2日後には既に私は読者に加えられていました。その怒濤の流れに、ドイツでのほほんと暮らしている私はドギマギしてしまいました。
このメールマガジン、今まで講読していた美術館のメールマガジンとは私にとって大きな違いがあります。それは発行者が友人であることです。友人cheさんは高畠華宵大正ロマン館に務める学芸員さんで、このメールマガジンの発行者であるのです。
先にも記しましたが、美術館発行のメールマガジンを読む楽しみの一つに、普段は接することのない学芸員さんの考えがそこで読めることが挙げられます。しかし今回の場合、その学芸員さんは友人です。ちょっと違和感ありますが、またそれはそれで面白いのではないかと思っています。私に見せる友人としての顔と、学芸員としての顔とは違うと思うからです。
さてそんな高畠華宵大正ロマン館のメールマガジンは、毎月2回、第一金曜日・第三金曜日に発行されます。第1回目もまだ読んでいないなか、第2回目が7月20日に届きました。ということで、第1回と第2回を今日はまとめて読みました。
どちらの号もトップは「☆メルマガスタート記念☆お友達ご紹介キャンベーン☆」と名のうたれたキャンペーンについてでした。なんでもメールマガジンの読者が友人や知人を新たにメールマガジンの読者に招き入れることが出来た場合、双方が高畠華宵大正ロマン館のオンライン・ミュージアムショップでの買い物の際に繰り返し10%の割引を受けられる(2007年9月30日まで)といったキャンペーンらしいのです。
ここで「ん?」と思いついたことが。これは私にも適用されるのではないかということです。フォームから申し込んだわけではないですが、読者であった恩師が新規に私をメールマガジンの読者として招き入れてくださったのですから。しかしもっと「んんん?」と思ったことは、「もしかして恩師は10%の割引を受けたいがために、私にこのメールマガジンの購読を勧めたのか?」ということです。まあそんなことはもちろんありませんが。むしろ本当にそうだったほうが面白いですけどね。
美術館に敷設したショップ情報、カフェ情報などが読めるのも、美術館発行メールマガジン講読の楽しみの一つです。もちろん高畠華宵大正ロマン館発行のメールマガジンも例外ではなく、それらの情報が掲載されています。
美術館に行ったときに作品を見た後に、カタログがあればカタログを買い、そしてそれを美術館のカフェで読みながら余韻に浸るというのが好きなのです。カフェを利用するだけに美術館に行ったりもします。美術館にあるカフェは私にとってはとても大切な場所なのです。従って美術館にカフェがなかったり、そのカフェに力が入っていなかったりすると、それはもうがっかりします。PinakothekやLenbachhausにあるカフェは、私の願望を叶えてくれる良いカフェです。
高畠華宵大正ロマン館のカフェもメールマガジンを見る限り、ちゃんと力の入った良いカフェであることが伝わってきます。第1回目のメールマガジンには敷設するカフェ、カフェ・カショーに登場した新メニュー「涼風ハーブティセット」について、開発スタッフYさんというかたの紹介文が掲載されています。
「涼風ハーブティセット」はわらびもちとハイビスカスのフレーバー・ハーブティーとのセットのことみたいなのですが、その紹介文がまた面白いのです。
蒸し暑~い日本の夏の、代表的な和菓子「わらびもち」。お肌の曲がり角をとっくに曲がった私にとっては羨ましいくらいぷるぷるしたもち肌の上に、きなこをかけるのはもちろん、黒みつも垂らして贅沢に食べてみたり。
自虐的に自らを登場させることによって、わらびもちのプルプル感が、ほほえましくもよりリアルに伝わってきます。ここはほほえましく思っては失礼なのかもしれませんが・・・
またハーブティーの紹介では、
そして、華宵さんも行った常夏の楽園・ハワイを代表する花といえば、ハイビスカス。
からっと晴れた日に輝くパッションピンクのハイビスカスときれいなお姉さん。(*注:想像です。)嗚呼、素敵なアバンチュールが待っている・・・(*注:妄想です。)
といったように、嘘か本当か分かりませんが、そのハーブティー誕生の要因に開発者Yさんの妄想が多大なる貢献を果たしたことが分かります。
いずれにせよこういった開発者の話は、メールマガジンを通じてのみでしか知り得なかった情報です。このような情報を私はいつも楽しみにしているのです。
伝え方はYさんのようにユーモアを交えて伝える方法もあれば、真面目に伝える方法もあると思います。しかし私はそのどちらであっても良いです。その伝え方にも書き手側の個性が表れている方が好きなので、千差万別あって良いと思うからです。「客観的」事実としての情報も知りたいですが、「主観的」な視点からの情報も私は知りたいと思っていますから。美術館のカフェに行ったとき、「このメニューはどんな人が考えたのかな。」「このコーヒーはどこのものだろう。」「ここで使われている食器や、家具はなんで選ばれたのかな。」などなど、美術館のカフェで考えることは多いです。そういった裏側の事情を直接担当者から知ることが出来るのも、また美術館発行のメールマガジンならではでしょう。
私の友人cheさんはメールマガジンの最後に、「じゅげむじゅげむ」と題してコラムを書いておられます。
第1回目では「五感をみたすミュージアムをめざして」と題して、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の五感をフルに利用して楽しめる美術館作りについて書かれています。原体験としてcheさんが昔訪れたロンドンにあるVictoria and Albert museum(ヴィクトリア&アルバート美術館)を挙げています。美術もしくは美術館好きなら、だれもがお気に入りの美術館を持っているはずです。それは美術館で働いておられる専門スタッフの学芸員さんであってもきっと同じだと思います。そういった方が、どういった美術館がどのような理由で好きで、そしてそれを実際自分の関わる美術館でどう活かしているのかというのは興味のある問題です。私はVictoria and Albert museumは訪れたことがありますが、高畠華宵大正ロマン館はまだ訪れたことがありません。日本に帰ったときに訪れる機会があるならば、高畠華宵大正ロマン館にVictoria and Albert museumに共通する何かが見つけられるか気をつけてみたいと思います。
また「じゅげむじゅげむ」の第2回では「常設作品と観者のこころ」と称して、高畠華宵大正ロマン館の常設展にまつわり、cheさんと訪問者の方とのエピソードを交えながら美術館における常設展についての意見が述べられています。
日本において美術館に行くことの目的は、ほとんどの人は新聞社などの後援した外国の著名美術館所蔵作品による「○○美術館展」のような特別展を見るためにだと思います。こういった展覧会の形式はドイツではほとんど見かけることがありません。美術館の展示の主は常設展を活かしたものであり、特別展はその言葉の通り、本当に特別な場合にのみ企画されます。もちろん日本では外国の美術館の作品をわざわざ見に行ける人はそう滅多にいないでしょう。したがってそういった日本独自(と思われる)の特別展は、美術ファンにそういった普段は目にすることの出来ない外国美術を見ることの出来る良い機会を与えているという面で評価できると思います。
ただ残念なことに、そういった特別展を見に行ったとしても、同時に展示されている常設展にはほとんど人がいません。これは本当に残念なことだと思います。確かに日本の美術館の常設展示には、特別展で外国からもたらされるほど知名度の高い画家の作品は展示されていないことが多いです。特に地方の場合は。しかし思いもよらないような良い作品を発見できるのも常設展であると思うし、お気に入りを見つけては足繁く美術館に通い、何度もその作品に向かい合うことが出来るのも常設展ならではの楽しみ方だと思います。
私も日本やドイツでお気に入りの美術館がいくつかありますが、そこに通う理由はそこに行けば常にあの作品が見られるというのがあるからです。私の場合ここMünchenにおいてLenbachhausに毎週足を運ぶのは、このサイト名の由来でもあるWassily Kaindinskyの「Das bunte Leben(The Colorful Life)」(1907)という作品があるからです。その作品の前で色々あった出来事と作品を重ね合わせながら眺めるのが私の習慣となっています。私のMünchenでの思い出は、その作品を見ることで色々と浮かんでくるのです。
cheさんはそのコラムの中で、
一緒に年をとっていける作品を見つけられたら、それはとても幸福なことですよね。
と記されていますが、「Das bunte Leben(The Colorful Life)」は私にとって正にそういった作品で、この作品が見られることで本当に幸せを感じます。
このメールマガジンではその他に美術館周辺情報として第2回目のメールマガジンには、美術館前にある大きな山桃の木についてのエピソードがこれまた館員の方と関連づけて述べられていたりして興味をそそられます。
美術館といえば何かと世間一般から離れていて、異質的なものと見られがちですが、そこに収められた美術作品も、その美術館を運営している人も人間である以上はそう一般とかけ離れている異質なものではありません。美術館発行のメールマガジンはそういったことを改めて教えてくれるものであると思います。
高畠華宵大正ロマン館発行のメールマガジンに限らず、気になる美術館や博物館がありメールマガジンを発行しているのならば、一度講読してみても良いのではないかと思われます。取っつきにくいと思っていた美術館や博物館が、身近に感じられるようになるかもしれません。
ちなみに高畠華宵大正ロマン館発行のメールマガジンはここから登録できます。今のところ高畠華宵大正ロマン館のウェブサイトのトップには、一見してメールマガジンを発行していることが分かりにくいようになっているのが残念です。
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どうも、発行者です。
まだまだヒヨッコでお恥ずかしい限りですが、
長い目で見守って頂けるとうれしいです。
登録画面の分かりにくさはごもっともで・・・。
ホームページもなんとかしたい今日この頃です。
あ、10%引きにしますよ(笑)!
海外発送できまっせ(笑)!
新商品(だと思う)の「高畠華宵 トートバック」は良いなあ。両方とも。それから「竹久夢二 小風呂敷/ハンカチ」も。でも貧乏なので買えません(涙)そして何よりも海外に「振込み用紙」送られても、振り込めません・・・
ちなみにトートバック持っている写真はcheさんですか?
そうです、写真はわたしです、たはは。
少し話がずれますが、
先日K先生が来て下さいました。
カラフル兄ちゃんも帰国したら
遊びにきてね〜。