かんぺんう゛ぁんどそのに

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▲Kampenwand in Aschau im Chiemgau▲

前回のエントリーからの続きです。)

そうやって歩いて到着したのが、山頂付近にある最後の山小屋です。写真はその山小屋周辺のものです。恐らくこの近辺まで、麓の登山口で見たロープウェイで登ってこられるのでしょう。麓で見たのと同じぐらいの数の人々を、ここで見ることが出来ました。また先ほど登山道で抜かれた消防車が止まっていました。恐らくここまでは車で来ようと思えば来られるみたいです。

その山小屋に近づくとバンドの演奏が聞こえます。バイエルンの民族衣装を着た人々もやたらと目につきます。どうもその日は何かのお祭りをこの地で行なっていたようです。この近辺に小さな礼拝堂がありました。恐らく日本でいう地蔵盆にあたるものを行なっていたのだと思います。礼拝堂はたくさんのきれいな花で飾り付けられていました。

見上げればもうKampenwandの山頂は目の前です。しかしここまで登ってくるのにかなり疲れた私は、芝生に寝ころんでしばし休憩をすることにしました。目の前にはパノラマに広がる麓の街並み。きれいな空気に良い天気。気がつけば少し眠っていました。

さて林檎をかじって食事もしたし、すこし眠って休憩もしたし、山頂まで最後の登山です。しかし歩き始めて10分ぐらいで後悔の念が押し寄せてきます。というのも下から見ても険しいなと思っていた山頂付近ですが、やっぱり険しいのです。KampenwandのWandというのはドイツ語で壁の意味ですが、正に壁として山頂はそびえ立っているのです。足元はすべりやすいし、山頂までの道程は急そうだし、「本当に登れるんやろうか」という不安が頭の中によぎります。

しかし私の不安をよそに、回りのドイツ人達はどんどんと登っていくのです。この山頂付近は何度も記しますが険しいのです。私にとっては「かなり」険しく感じられました。しかしドイツ人達にとっては「お手軽」ハイキングコースなのか、みんなスイスイ登っていくのです。

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▲Kampenwand in Aschau im Chiemgau▲

登るといっても山頂付近のこの付近は写真のような岩場で、登るというよりよじ登るという表現がピッタリなところに何度も出会います。高いところが苦手な私には、振り返れば高さのあまり足がすくんでしまうような場所がいくつもありました。

しかしそんな険しい山頂付近でも、「のどかな雰囲気を醸し出す」ドイツ人登山者に何度も出会うのです。それに私は驚きました。

例えば親子連れ。ロープウェイで幾ら山頂付近まで来られたとしても、そこから5歳ぐらいの子供を連れて山頂まで登るのは無理そうに思えるほどの険しさです。しかし5歳ぐらいの子供を連れて登山している夫婦の何と多いことか。しかも中には2人の子供を連れて登山されている夫婦もいました。私なんかは自分の身のことで精一杯なのに、この人達は子供を連れてお気楽ハイキングです。

続いて老夫婦。お見かけしたところもうかなりの年齢だと思われるこの夫婦。手に杖を持って登っています。その杖も他の人が持っているような登山用の杖ではありません。弱い足腰を支えるために日常生活でも使っていると思われる杖です。実際山頂付近にも所々ある平地で歩いておられるときの足取りは、力強いといえるものでは決してありませんでした。しかしそんな老夫婦でも岩をよじ登っていかれるのです。平地での足取りと、その岩山を登る力強さは決して同じものとは思えませんでした。

そして少女。この山頂付近で一番私をびびらせた少女です。歳は見たところ20歳前後です。この少女がすごいのです。何がすごいってその服装が。百歩譲ってKampenwandのその山頂付近がお手軽ハイキングコースだったとしましょう。しかしそんなお気軽ハイキングの人たちでも、それなりの格好をしています。私のように登山靴を準備して軽登山の格好で登っている人が大半でした。次にジャージとスニーカーといったような格好の人々が多かったでしょうか。この2種類の格好の人々でほぼ100%でした。しかしその少女の格好は、少なくとも私の度肝を抜きました。

その少女はまるで街中に買い物に来たかのような格好だったのです。上は薄いピンク色のひらひらの付いた半袖。下は膝下10cmぐらいの白いフレアスカート。靴の底のぺったんこのもの。しかしスニーカーではありません。そして極めつけにお財布と少しのものしか入りそうにない小さめのショルダーバック。それを見た私は「ほへっ?なめてんのか?」と思ってしまいました。

しかしなめていたのは私の方でした。肩からずれ落ちそうになるショルダーバックや、ひらひらなびくスカートの裾を気にしつつも、その少女はガシガシ登っていくのです。私などあっという間に置き去りにされてしまいました。

完全敗北です・・・

登山は格好ではないということを、何事も形から入ってしまう私は嫌というほどそこで教わりました。小さな子供連れの親子、足元のおぼつかない老夫婦、そして買い物ついでのような格好の少女が楽々と岩山を登る姿を見て、「ああ、ここはやっぱお気楽ハイキングコースなんや。」と私は思い知らされたのです。まあ確かに後でガイドブックなどを見ても、お気楽ハイキングコースでした。ドイツ人、恐るべしです。いや、この場合は私がただ単にダメなだけなのだろうと思いますが。

そのような人々がひょいひょいと登っていく姿を後ろから見ながら、私は必死で登りました。足を引っかけるところを探し、しっかりと手で握れるところを探りながら慎重に慎重に登りました。ロープが張られているところでは、「このロープ切れへんかな。切れたら落ちて死ぬな。俺の体重じゃ切れそうやな。こんな事ならダイエットしとくんやったな。」などと人生最後であるかのように思いながら進んでいました。

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▲Kampenwand in Aschau im Chiemgau▲

そんな思いをしながら登った山頂からの景色がこの写真です。正確には十字架のあるこの場所が山頂ではなく、隣の岩山がKampenwandの山頂です。そこはそれこそお気軽ハイキングで登れるようなところではないのです。しかしそこが山頂であるかどうかはもうどうでも良いところ。そんなことも自分が高いところが苦手だという事も忘れて、ただただそこから見える景色に見とれてしまいました。

下には先ほど山頂に来る前に休憩した山小屋が見えています。遠くに目をやれば、Prienの街並みやChiemseeを目にすることが出来ます。「恐かったけれど無理して登ってきて良かった。」そう心から思えました。山を登ったときの楽しみの1つには、こういった風景の見えることにあると思います。

登ってきた疲れもあって、しばし山頂できれいな空気と景色を楽しみながら休憩しました。これまでの疲れも一気に吹き飛びますね。

帰り際には山頂に置かれている登山記念の記帳書に、ドラ○もんの似顔絵とサインをしてきました。

山頂での休憩の後はもちろん下山するのですが、疲れも飛んだかと思いきや、下り始めると一気に現実に引き戻されました。普段運動していないせいもあって、帰りはもう膝が笑っていました。

往路でショートカット出来そうな近道を見つけていたので、復路ではその道を試してみました。確かに往路よりは短い道程でした。しかし思ったよりも急勾配で、もう自由がきかない足で転げ落ちないよう生まれたての馬のようにぷるぷる足をふるわせながら下山している様は、我ながら滑稽だろうなと思いました。もっともそんな人目を気にする余裕もありませんでしたが。幸いなことにそのコースを取る人が他にいなかったので、気にする人目がなかったのは救われました。

無事に下山後は再び電車でMünchenへ向います。帰りにはお腹が空いたのでPrien am Chiemseeで一本München行きの電車をスルーして、駅の近くのレストランで普段はまず食べないバイエルン料理をガッツリいただいて帰りました。

次の日から階段を上るときだけでなく、普通に歩いているだけでも足に痛みを感じるほどの筋肉痛になったのはいうまでもありません。


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▲Kampenwand in Aschau im Chiemgau▲
▲Google マップより▲

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2 Responses to “かんぺんう゛ぁんどそのに”

  1. ega says:

    kampenwand登頂、お疲れ様でした。
    egaは文明の利器で登頂致しました・・・

    最近、富士登山を経験したせいか「LEKI」のストックが
    欲しくなっています。

    バイエルン料理はコラーゲンたっぷりで
    体力回復しそうですが、
    Chiemseeの魚もとても美味しいですよ。
    次の機会にお試しくださいませ。

  2. colorfullife says:

    ストック良いですね。自分も欲しいです。腕の力を利用できそうなので、上手く使えたら疲労度も違ってきそう。特に下りの時には役立ちそうかな。購入した際には感想を聞かせてくださいな。

    Chiemseeの魚料理か。あまり考えもしたことなかったのですが、湖なのでもちろん魚は捕れるのですね。次回試してみます!