
▲Diffuse Einträge▲
Münster(ミュンスター)の旧市街地のすぐ南に面した、Aasee(アー湖)の様子です。位置はエントリーの最後に貼り付けたGoogleマップを参照してください。
Tue Greenfort(テュー・グリーンフォート)による、Skulptur Projekte Münster 2007出品作品、Diffuse Einträgeというものです。
「作品はどこ?」と思われた方、割と普通な判断力をお持ちだと思います。普通は分りません。写真の右端で湖に向って水をまいているタンクが見えるかと思います。それがGreenfortの作品です。
Greenfortは1973年、デンマーク生まれの作家。現在はFrankfurt am Main(フランクフルト・アム・マイン)やBerlin(ベルリン)に居を構えて、作品の制作を行なっているようです。
湖に散水するタンク。ここでなくてもありそうな風景ではあります。「これは作品ではありません。」と言われれば、納得できそうな気もします。しかしこれはまぎれもなく、1つの作品なのでした。
Skulptur Projekte Münsterはそれが始まって以来、常に確固としたテーマがあります。それは「芸術と公共」です。作家は作品を自分の拠点とする場所で制作して、出来上がったものをSkulptur Projekte Münsterに持ってくるわけではありません。招待された作家はMünsterにSkulptur Projekte Münster開催の数年前からやってきては、Münsterやそこに住む人々から色々なことを感じながら作品制作を行ないます。したがってどんな作品からも、Münsterに関係する何らかが得られる「はず」なのです。作品は常に設置される場所について考えたうえで、制作されねばならないのです。
したがってこのGreenfortの作品にも、ここMünsterに関係した何かが発見できるはずなのです。しかしこの作品を見たところで、私には何も分りませんでした。ということで後でカタログを眺めてみたら、意外なことが分りました。
このAaseeはMünster市民にとって憩いの場所となっています。散歩をしたりサイクリングをしたりする人をよく見かけます。また湖にボートやヨットで駆りだしている人たちもよく見かけます。市民に愛されている場所だというのは、ここAaseeに行けばすぐに感じ取れることです。
そのAasee、実は人工的に作られた湖だというのがGreenfortの作品の説明を読んでいて分りました。そして、Aaseeが実は遊泳禁止であるというのも初めて知りました。何度も行ったことがあるのに、全く気がつきませんでしたね。
Aaseeが遊泳禁止な理由は単純明快でした。水質が汚染されていて、人体に悪影響を及ぼす可能性があるからだそうです。
これまた知らなかったのですが、Münsterの近郊は酪農地帯らしいです。その酪農地帯で家畜を育てる飼料となる牧草を育てるために肥料をまいているそうですが、その肥料を含んだ水が川を伝ってAaseeに流れ込んでいるようなのです。それがAaseeの水質を汚染しているのです。
米のとぎ水を下水に流すと、養分が豊富なためにバクテリアの繁殖を促して水質を汚染してしまうという話を聞いたことがあります。それと同じ事がここMünsterでも起こっているようですね。
水質が汚染されてしまったAaseeの湖には、リン酸塩というものが多く含まれています。肥料に使われているためですね。これが人体に悪影響を及ぼす可能があるらしいので、ここAaseeは遊泳禁止になっているのです。
Greenfortはこの点に注目して作品を制作しました。Aaseeの水質汚染の原因となっているリン酸塩を中和するための液を、このタンクを通じてAaseeに放出しているのです。この作品制作のために、大学や大学病院の研究者との話し合いも重ねたようです。
なるほど、それでここにタンクがある意味と、このタンクが散水している意味が分りました。そりゃMünster市民に愛されているAaseeですから、市民も感心がある話題だと思います。
しかしこのタンクと散水が芸術作品であると言われたら、「???」と思います。それは環境問題に取り組む研究者の考えることではないのかと。しかしそれを芸術家が行なってしまうのです。芸術の守備範囲は私が思うよりもっと広いのだと、この作品を見て考え直させられるきっかけになりました。
これって芸術作品ですかねぇ・・・(←しつこい)
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▲Östliches Aaseeufer, zwischen Adenauerallee und Bismarckalle▲
▲Google マップより▲
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