こっきょうをまたぐ

image00268.jpg
▲Burghausen▲

写真の中央を流れる川は、Salzach(ザルツァッハ川)といいます。透き通るようなきれいな水ではなく、流れる水は濁っています。しかし黒く薄汚れた水が流れているかというとそうではなく、白く濁った水が流れています。

アルプスを源泉とするこの川は225kmに渡って旅をした後、Haiming(ハイミング)でInn(イン川)に交わります。そのInnもまたPassau(パッサウ)でDonau(ドナウ川)に交わります。

Salzburg(ザルツブルク)を訪れたことのある人なら、町の中を流れる川を目にしたことがあるでしょう。それが、このSalzachです。Salzburgなどで取れる塩は、このSalzachを船で運ばれ、ヨーロッパ各地へともたらされました。Burghausen(ブルクハウゼン)も、古くは塩の貿易にて富を得ていました。

Salzachの川が白く濁っているのは、もしかしたら塩と何か関係あるのかもしれません。水は舐めていないので、それが塩辛いかどうかは分りませんが。

Burghausenを流れるSalzachは、現在オーストリアとの国境ともなっています。写真の左、Burg zu Burghausenが丘の上に見えますが、そちら側がドイツ側、Burghausenの町です。Salzachを挟んで右側がオーストリアの町、Hochburg-Ach(ホッホブルク・アッハ)です。

BurghausenとHochburg-Achの間には2つの橋が架かっています。北側が古い橋、南側が新しい橋です。Salzachの真ん中が丁度国境となっていますので、橋の真ん中に立つと、国境に立っていることになります。上掲の写真は、南側にかかる新しい橋の上で、国境に立って撮影したものです。

image00269.jpg左側の写真は、Burghausenの町の北側にかかる、古い橋の様子です。オーストリア側のHochburg-Achの方から、Burghausenの方を向いて撮影しました。

橋を渡るとBurghausenのAltstadt(旧市街地)に出ます。Burg zu Burghausenも小さいながら確認できるかと思います。

左側に見える建物は、昔の検問所跡です。現在は何かに利用されていました。南側の新しい橋のたもとにある検問所は、現在はギャラリーとして利用されていました。

橋の入口右側に、オレンジ色をした大きな植木鉢が見えると思います。この植木鉢、この国境に架かる橋の真ん中辺りにもひとつ置かれています。写真でいうと、左側の欄干に沿うように置かれています。最初は「なんと邪魔な。」などと思っていたのですが、この植木鉢が結構重要な役割を果たしているのに気がつきました。

この橋は狭いながらも、車2台はすれ違うことは可能です。しかし、この橋は車だけではなく、歩行者も利用します。もし植木鉢が置かれていなければ、車はそう速い速度ではなくとも、それぞれそれなりの速度で行き来することが可能です。

ただこの植木鉢があることによって、橋の真ん中付近は車2台がすれ違うことが出来ません。よって、写真では橋の左側を通ってドイツ側からオーストリア側へ向う車は、一旦この植木鉢の前で停車して対向車を待たねばなりませんし、植木鉢を回避するために対向車線に出るために、注意深く進まねばなりません。従って必然的にこの橋を渡る車の速度が大幅に制限されることになります。

信号も歩道もない橋ですが、この植木鉢があるおかげで、歩行者も安心してこの橋を渡ることが可能です。一体いつからこの植木鉢がこの橋の上におかれるようになったのかは分りませんが、これぞ暮らしの中から生まれた知恵だなと思いました。

image00270.jpg日本に住んでいると、国境を越えるためには、船を使うか、飛行機を使うしかありません。多くの日本人にとっては、国境は海の上という感覚があると思います。もしくは国境という感覚はあまり持っていないかもしれません。

しかし陸で多くの国々と接している欧州にいると、国境は陸にもあるんだなと、当たり前のことを経験し、不思議な気分になります。

シェンゲン協定の領域内となれば、現在はパス・コントロールもありません。このBurghausenとHochburg-Achの間も多くの人々が、パス・コントロールなしにひっきりなしに通過していきます。

Burghausenを訪れたこの日は、マラソン大会があったみたいですが、人々はドイツ側を走ったり、オーストリア側を走ったりしていました。国境を越えたマラソン大会です。日本人的感覚が強い私には、全く不思議な光景でした。

当たり前の話ですが、国境は人工的なものであるので、国を超えたからといって、いきなり言葉も民族も文化も180度違うということはありません。特に陸地に国境がある場合は。したがってここで見られるようなパス・コントロールのない国境越えの風景は、そこに住んでいる人たちにとっては、本来はごく当たり前の自然な姿なのでしょう。


拡大地図を表示
▲Burghausen▲
▲Google マップより▲

Similar Posts:

2 Responses to “こっきょうをまたぐ”

  1. ega says:

    国境を越えるマラソン大会、参加してみたいです。
    以前家主のおばあさんから聞いたのですが、
    オーストリアのガソリンはドイツより少し安いので、
    PrienやTraunstein辺りに住んでいるドイツ人達が
    オーストリアのガソリンスタンドに行っているが、
    帰りにカフェでお茶したりアイスを食べるから
    意味がないという話をしていましたね。

    国境の街、といえば、エガがまず頭に浮かぶのが
    スイスのバーゼルですが、
    パン屋の奥さんがお客さんに応じて
    仏語と独語でやり取りしてるのにビックリしました。
    「さすがコンテナ港のある街だ」と感動しました。
    バーゼルは落ち着いた雰囲気で、
    エガにとって大変思い入れのある街です。
    いつかSchaulager博物館に行きたいですね。

  2. colorfullife says:

    機会があれば、Burghausenでのマラソン大会に参加してみてください。国境を越えるマラソン大会は、Burghausenだけでなく、シェンゲン協定に加盟している国同士の国境でも、恐らくは行なわれていることでしょう。なんだか本当に楽しそう。

    Baselは以前に行ったことがありますが、中央駅ではスイス国鉄とフランス国鉄のホームが別にあって、そこでパス・コントロールを受けたのを覚えています。近くにはドイツ鉄道の駅もあったように覚えています。「町の中に3つの国の鉄道の駅があるなんて。」などと驚いた記憶があります。

    陸地に国境のある町は、いつ訪れても不思議な感覚を味わいます。民族や言葉や文化が、微妙に交わっている感じが好きです。