むじまにゅふぁくちゅあーどばいとーねっと

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▲MUJI manufactured by THONET▲
▲www.muji.netより▲

私は、MUJI(無印良品)のメール・マガジンを購読しています。先日届いたメール・マガジンに、目を通していると、MUJIがドイツの企業と手を組み、とある商品の、リプロダクトを開始すると、案内されていました。

今回MUJIが、リプロダクトする商品は、2つの椅子のようです。メール・マガジンには、それほど詳しい情報が出ていなかったので、メール・マガジンにはられたリンクをクリックして、ウェブ・サイトを訪れてみました。

多くの人に良質の家具を。—トーネット、バウハウス、そしてMUJIへ

無印良品は、歴史的に意味をもつ2つの家具をリプロダクトしました。ひとつはドイツの家具メーカー、トーネット社が1859年につくった曲木の椅子、「NO.14」。そしてもうひとつは1920年代、同じくドイツの芸術学校バウハウスのメンバーが生み出した、曲パイプの家具です。どちらもその時代における革新的な技術と斬新な素材によってつくられ、家具製造の歴史に転機をもたらした画期的な美しい製品であり、また「多くの人に良質の椅子を」という理念のもと安価で製造・販売された、大衆のための家具でした。しかし現在、それらは図らずも嗜好品となり、複雑な流通経路をたどることにより価格が肥大しています。このことはプロダクトとデザインが高い評価を受け続けている証拠ではありますが、当初の理念からは皮肉にも大きく外れていると言わざるを得ません。無印良品はドイツのトーネット社の熟練した職人技と工場を活用し、このプロジェクトに共感する世界の優れたデザイナーと無印良品のコンセプトに基づいた合理的な設計をおこない、生産時の無駄を省き、流通を簡略化しました。結果として誰もが暮らしの中で当たり前に使える、家具の本来あるべき姿を蘇生させたのです。

今回MUJIが行う、プロジェクトの名前は、「MUJI manufactured by THONET」というようです。MUJIのウェブ・サイトから引用した、上記の説明文にも記されているように、MUJIはドイツの家具メーカー、THONET社と協力して、かつて生産された、「歴史的に意味をもつ」2つの椅子を、リプロダクトするとのこと。

リプロダクトされる椅子のうちのひとつは、1859年に、THONET社が生産した、「NO.14」(上掲写真の右側)というものです。

このTHONET社、1849年にMichael Thonet(ミヒャエル・トーネット)が興した、Gebrüder Thonetという会社に起源を持ちます。Thonetは、それまでにも、家具職人として活躍していましたが、1836年に、「Bopparder Schichtholzstuhl」という椅子を製作して、注目を浴びました。それは、木を蒸し、柔らかくし、型にあてて成型するという手法をとったからです。これにより、それまでの椅子の製作にくらべ、手間やコストが、グンと削減できるようになったほか、造形性も高くなりました。

それで勢いに乗ったThonetは、1849年にGebrüder Thonetを興す(2度目の独立)のですが、そのGebrüder Thonetが製作した椅子の中で、最も売れたのが、この「NO.14」というものです。ドイツ語では「Nr.14」(愛称はKonsumstuhl Nr.14)というこの椅子、生産が始まった1859年から、1930年までの間、実に5000万台ほど売れました。

今回、MUJIは、この「NO.14」をリプロダクトするようですが、そのリプロダクトされた椅子の写真が、上掲写真の左側のものです。「BENDING(曲木)」と名付けられています。THONETの「NO.14」のコンセプトを受け継ぎつつも、現代に合わせて、デザインや素材などを変更しているとのこと。

MUJIが今回、リプロダクトする椅子のもうひとつは、建築家であり、家具デザイナーでもあった、Marcel Lajos Breuer(マルセル・ラヨス・ブロイヤー)によるもので、1920年代に製作された、「B32」というものです。

後に、Breuerの娘の名前を取り、「Ceska(チェスカ)」と呼ばれたこの椅子は、いわゆる、「Cantilever chair(カンティレバー・チェア)」というものです。Cantilever chairとは、通常の椅子が、4脚であるのに対して、2脚になっています。骨組みは、スチール・パイプ1本で、それを3次元的に折り曲げるようにして作られた「B32」は、「空気の上に座る」というコンセプト通り、スチール・パイプの適度なたわみによって、快適な座り心地が得られるようになっているのです。

この「B32」を、リプロダクトした商品は、MUJIでは「PIPE(パイプ)」と呼ばれています。「B32」の場合、スチール・パイプが背もたれの部分になるよう、折り曲げられていましたが、「PIPE(パイプ)」では、背もたれは、別の部品でつくられるみたいです。その代わり、肘当てにあたる部分を、スチール・パイプで製作するようですね。

このリプロダクトされる、「NO.14」と「B32」、共通点を見いだされた方は多いのではないでしょうか。そう、素材を「曲げる」という部分です。それもそのはず、「B32」の製作にあたっては、THONET社が協力していたのですから。そこには、「NO.14」などに利用された、木を曲げる技術というのが、当然活かされたようです。

「NO.14」や「B32」の後継となる椅子は、現在でもTHONET社が製作しているので、手にすることは可能です。しかしながら、手にすることは可能でありながらも、「手に入れること」は難しいです。なぜなら、椅子としては、高価なものになっていますから。

「NO.14」や「B32」は、「その時代における革新的な技術と斬新な素材によってつくられ、家具製造の歴史に転機をもたらした画期的な美しい製品」であると同時に、「『多くの人に良質の椅子を』という理念のもと安価で製造・販売された、大衆のための家具」だったとのこと。MUJIはその点も考慮して、良質ながらも、安価な家具として、「BENDING(曲木)」や「PIPE(パイプ)」を発売するようです。ということで、お値段も、割と安めな価格(THONETのものと比べれば)となっています。

今まで、「高嶺の花」だったものを、手にするチャンスかもしれません。「BENDING(曲木)」や「PIPE(パイプ)」の発売は、2009年2月を予定してるとのことです。

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