りんだりんだりんだ

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▲『リンダ リンダ リンダ』(2005年7月18日公開)▲
▲監督:山下敦弘、脚本:向井康介・宮下和雅子・山下敦弘▲
▲出演者:ペ・ドゥナ・前田亜季・香椎由宇・関根史織など▲
▲配給 : BITTERS END、上映時間:114分▲
▲www.asiafilmfest.deより▲

先日のエントリーにて紹介した、Asia Filmfest 2008へ行ってきました。見たのは、2本の映画です。1本は、山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』という映画、もう1本は、Marie Miyayama(宮山麻里枝)監督の、『Der Rote Punkt – 赤い点』というものでした。

『リンダ リンダ リンダ』は、2005年7月18日に、日本で公開された映画なので、既に見たことのある方もおられるとは思います。この映画のタイトルは、THE BLUE HEARTSの、『リンダ リンダ』(1987年5月1日リリース)からつけられたものです。この映画では、タイトルからもお分かりのように、THE BLUE HEARTSが、作中にキーとして組み込まれており、『リンダ リンダ』以外にも、『終わらない歌』(1987年5月21日リリース)や『僕の右手』(1988年11月23日リリース)といった、THE BLUE HEARTSの曲が、挿入歌として利用されています。

今回、『リンダ リンダ リンダ』を選んだ理由は、ただ単に、私が、THE BLUE HEARTSを好きだから、というただそれだけのことです。山下敦弘監督が、日本映画界期待の若手監督云々といった、映画的な関心からではありません。ミーハーな選択です。

さて、『リンダ リンダ リンダ』ですが、次のようなストーリーとなっています。

文化祭前日に、突如バンドを組んだ女子高生たち。
コピーするのはブルーハーツ。しかもボーカルは韓国からの留学生!?
本番まであと3日。4人の寄り道だらけの猛練習が始まった!
高校生活最後の文化祭のステージに向けて、オリジナル曲の練習を重ねてきたガールズバンド。ところがまさにその直前、ギター担当の怪我をきっかけにボーカルが抜け、バンドは空中分解寸前となる。残されたドラムの響子(前田亜季)、キーボード転じてギターの恵(けい)(香椎由宇)、ベースの望(関根史織)はひょんなことからブルーハーツのコピーをやることに! そして彼女たちがボーカルとして声をかけたのは、なんと韓国からの留学生・ソン(ペ・ドゥナ)?!

『リンダ リンダ リンダ』OFFCIAL WEBSITEより

この映画、見る前には、「女子高生」「文化祭」「THE BLUE HEARTSのコピー・バンド」といったキー・ワードから、さわやかな、青春映画をイメージしていました。例えば、『スウィングガールズ』(矢口史靖監督/2004年9月11日)のような。

しかしながら、期待は裏切られました。2時間ほどの上映時間の中で、盛り上がりはほとんどありません。どちらかというと、物語は淡々と流れていくといった感じです。ただ、だからといって、この映画が悪いとも思いませんでしたが。

この映画には、売りとなる部分が、ふたつあるように思っていました。ひとつは、「THE BLUE HEARTSをリアル・タイムで知らない世代の女子高生が、そのTHE BLUE HEARTSのコピー・バンドを行うこと。」で、もうひとつは、「日本語を理解していない留学生が、THE BLUE HEARTSの曲を歌うこと。」です。

私は、前者の方を、期待していたのですが、映画内で、それほど、おもしろく描写されている訳ではありませんでした。「THE BLUE HEARTSを女子高生がコピーする」という発想が、一番おもしろいことだったという感じでしょうか。それ以上のものは、私にはありませんでした。

日本人以外の観客には、当然、このおもしろさは伝わらないわけで、このことに対する反応は、全くといって良いほどなかったように思います。

後者の方は、私にとっては、期待していたよりも、おもしろいものでしたね。そして、日本人以外の観客にとっても、こちらの方が、おもしろいと感じる部分は多そうでした。

THE BLUE HEARTSの曲は、詩が重要になっているので、日本語をほとんど理解しないペ・ドゥナにとって、難しいものだったと思います。しかしながら、映画の最後で、彼女が歌うTHE BLUE HEARTSの曲には、強く心を打たれました。演技としてのTHE BLUE HEARTSの曲ではなく、ちゃんと、ペ・ドゥナが歌う、THE BLUE HEARTSの曲になっていましたから。

このほかにも、ペ・ドゥナの演技には、色々と見せられる場面が多かったです。夜の体育館に忍び込んで、ステージに立つ場面とか、香椎由宇と、洗面所にて、日本語と韓国語で会話する場面とか。

日本人以外の、観客にとっても、ペ・ドゥナが、日本語や日本文化といったものを徐々に理解していく様は、自らの経験と重なる部分があるのでしょうか、彼女の演技に、よく反応があったように思います。彼女の存在がなければ、今日、『リンダ リンダ リンダ』を見に来ていた、日本人以外の観客には、この映画のおもしろさが、伝わったかどうか、怪しいところではないでしょうか。ペ・ドゥナが、用具室で告白を受ける場面の、日本語と韓国語でのちぐはぐなやりとりなどは、一番受けていた場面でしたね。異言語でコミュニケーションしたことのある人なら、だれでも経験したことがあることですから、分かりやすかったのでしょう。

ちぐはぐさ(異言語間のコミュニケーション場面に限らず)は、その場面だけでなく、この映画内の、様々なところに見られます。そこが、この映画を、期待はずれにしているところでもあり、おもしろくしている要因でもある気がしました。

『Der Rote Punkt』については、このエントリーが、思ったより長くなってしまったため、次回に分けて記すことにします。


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