うえしたひだりみぎみぎひだり

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▲Gerhard Richter, Uran (2)(1989)▲
▲92cm X 126cm▲
▲Private collection▲
▲Catalogue Raisonné: 688-2▲
▲www.gerhard-richter.comより▲

今日は夕方から、妻とふたり、友人のGさんCさんご夫妻に招かれ、ご自宅へとお邪魔してきました。ご夫妻の長女であるClが、今日の午前中、Konfirmationsritus(堅信礼)に参加し、Konfirmation(堅信)を受けたので、そのお祝いのお茶会が、自宅にて催されたのです。

そのお茶会には、Clや、ご夫妻に関係する、たくさんの人が訪れていたのですが、出版社を持っているGさんの関係で、何人かの、印刷・出版関係の方も出席されていました。

そのような方々と話をしていたとき、話題に上ったのが、Gさん、親友K、そして妻の3人で現在進めている、出版物に関することです。テーマは、その予定されている出版物を、右綴じ(右開きとも)にするか、左綴じ(左開きとも)にするかということでした。

というのも、その予定されている出版物は、日本の昔話を題材にしているのです。ということで、日本の出版物が元来は、右綴じであるということを知っておられる方には、とても興味深い話題だったようです。

ご存じのように、日本においては、右綴じ、左綴じの出版物が混在しています。縦書きが利用されていれば右綴じ、横書きが利用されていれば左綴じ、というのが基本です。

しかしながら、ここ、ドイツでは、出版物のほぼ100%が、左綴じです。先ほど記した方のように、「日本やアラビア語圏では、右綴じで本が作られるのよね。」などという知識を持っている人も、非常に少ないです。持っている人がいるとしたら、日本のマンガに興味があるなど、日本や日本文化に興味がある人ぐらいでしょう。

ということで、右綴じ、左綴じについて、何人かに話を伺いましたが、ほぼ全ての人が、左綴じを推奨していました。いくら、日本の昔話を題材とし、日本の文化を紹介するという役目を負っている出版物だとしても、だからといって右綴じにしてしまえば、それに違和感のある読者が大多数である以上、良い出版物だとしても、受け入れられない可能性が高いという理由からです。

さて、そのような会話などを行ったお茶会を去り、私たち夫婦はその後、先日のエントリーで紹介した、haus der kunst(ハウス・デア・クンスト)の、「Gerhard Richter. Abstrakte Bilder」展(2009年2月27日〜2009年5月17日)へと出かけてきました。今日が、その展覧会の最終日だったのです。

その展覧会を見終わり、私たちは、haus der kunst内にある、Buchhandlung Walther Königという、美術書専門店へと足を運びました。妻が、展覧会に関係した、Gerhard RIchter(ゲルハルト・リヒター)のポスト・カードを購入したかったのです。

妻が、ポスト・カードを選んでいる間、私は、今回の展覧会に関係するコーナーとして設けられている、Gerhard RIchterに関する書籍が、山積みになっているところで、それら書籍を見ていました。

そのコーナーに置かれている書籍は、大抵は、ドイツ語か英語の書籍です。しかし、珍しいことに、日本語の本も置かれていました。例えば、市原研太郎氏による、『ゲルハルト・リヒター/光と仮象の絵画』(2002年12月12日発行/WAKO WORKS OF ART)です。

しかし、書店に平積みになっていたその書籍は、本来、表紙が上側に来るように積まれているべきなのに、表紙が下側になるようにして積まれてありました。そう、その書籍(縦書き日本語・右綴じ)が、ちゃんと「左綴じ」になるように。

表紙も含めて、内容のほとんどが日本語で記された本の、どちらが表かどうかなど、この書店の誰にも分からなかったのでしょう。従って、ドイツの書籍と同じように、左綴じになる方向に、書籍を並べたのだと思います。

その書籍を手に取る人がたまにいて、様子をちらちら見ていたのですが、大抵の人は、内容が読めないので、直ぐに元に戻していました。そして、書籍を元に戻す、その様子を見ていると、やはり、その書籍が「左綴じ」になるように、表紙を下側に向けて置いていく人がほとんどです。中には、表紙を上側にして置いていかれる方もいましたが、その場合もやはり、「左綴じ」になるように、表紙の上下が逆になっていました。

こういった光景を見ていて、夕方のお茶会で話した人々の指摘を思い出します。ドイツの人にとって、出版物とは左綴じなのです。右綴じの本の存在など、ほとんどが知りません。したがって、意識的にしろ、無意識的にしろ、出版物を持つときは、左側に綴じ部が来るように持ってしまうのです。

ということで、出版・印刷関係の話を聞いたり、書店でこういった光景を目にしたりしていると、Gさんたちの予定している出版物、右綴じにした場合は、ドイツで、受け入れられない可能性が高いのではないかと思いました。

ドイツでは、日本のマンガは、オリジナルを重視して、吹き出し内だけをドイツ語に変え、右綴じで売られている場合があります。ところが、フランスなどでは、像を反転させ、左綴じにしたところ、出版部数が大幅に増えたという話も目にしました(参照:「右開き左開き 部数も左右」)。それほど、右綴じの出版物というのは、そういうものがない国の人にとって、受け入れがたいようです。

あと、数ヶ月で、Gさんたちの出版物も世に出てくるのですが、右綴じ、左綴じ、どちらになっているのでしょうか。内容とは別に、また楽しみな話題です。


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▲haus der kunst▲
▲Google マップより▲

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3 Responses to “うえしたひだりみぎみぎひだり”

  1. Ken says:

    ドイツの語学学校で日本人の友だちと日本の雑誌をみてたら、
    ハンガリー人に「なんでうしろから読んでるの?」といわれたのを思い出しました。
    ページを左から右にめくるのが奇異に映ったようです。
    そのときに、日本語がタテにもヨコにも書けるというとかなりびっくりしてました。
    中国、韓国もよっぽどのことがない限りタテには組みませんもんね、もう今では。

  2. colorfullife says:

    このエントリーに記した、お茶会の場面に、丁度、韓国人の友人がいたので聞いてみたところ、韓国では現在、ほとんどの出版物が横書きで組まれているみたいでした。縦書きのものは、珍しいとのこと。Kenさんが仰有る通りでした。

    中国も、今は縦書きで組まれることは少ないのですね。漢字文化のど真ん中(?)なので、中国は、日本よりも、縦書きの割合が多いのかと思っていました。

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