
▲日章旗▲
大阪府や兵庫県で、最近の海外渡航歴がない人々にも、新型インフルエンザと呼ばれる、Influenza A virus subtype H1N1(H1N1亜型)の感染者が見つかったと、ニュースで報じられているのを読みました。その両府県には、私の友人がたくさん住んでいます。それで、こちらの近況報告を兼ねて、「お気をつけて」的なメールを送ってみました。
それが、5月17日0時頃(ドイツ時間)の話です。その時点で、報道されている感染者は、日本全国で20名程度でした。
しかし、それに対してもらった返事(5月18日0時頃送信/ドイツ時間)を読んでいると、感染者が80名程度に増えたと記されています。
そして、このブログのエントリーを書いている現在、報道によると、感染者は130名程度いるとのこと。すごい勢いで増えてますね。
「すごい勢いで増えている。」と記しましたが、もっとも、すごい勢いで増えているのは、「H1N1亜型の感染」ではなく、「H1N1亜型に感染しているという人の数」ですが。ここら辺は、数字のマジックで、勘違いしやすいところですね。
さて、もらった返事を読んでいると、多い内容は、「ドイツではどう?」とか、「町中、マスクしている人だらけ。」といったものだったように思います。
ドイツに関して述べるならば、H1N1亜型の感染者が見つかったのは、日本よりも早く、4月29日のことでした。しかし、私が知っている限り、今現在のH1N1亜型感染者は、20名を超えていないと思います。そして、H1N1亜型に関する話題が、ニュースで提供される回数は、日に日に減っていっている感じです。
H1N1亜型の感染者が、確認されている国からの便が到着する空港や港で、「水際予防」として、大々的に検疫を行っていた島国日本と、早々に感染者が見つかった上に、9ヶ国と陸地で接し、それら外国から、人の流れが自由な大陸国ドイツでは、結果が逆ではないのか、と思わなくもないですが、現実は、そのようになっています。大変不思議なものですね。
非感染者のマスク着用に関しては、日本(たぶんアジアの一部も)独特の「習慣」や「エチケット」であるので、感染者が見つかったからといって、少なくとも、私の住んでいるMünchen(ミュンヘン)では、町中でマスクをしているドイツ人を、見かけることはありません。
例外的に、最近、町のなかで、マスクをした人を見かけました。しかし、その人とすれ違った際、日本語を利用されているのを耳にしたので、日本人である可能性は高いと思います。
こういった、ウイルス性の感染症に対する、マスク使用による予防効果というのは、明確な科学的データがこれまでに提示されていないようです。
したがって、例えば、World Health Organization(WHO/世界保健機関)には、次のような記述が。
What about using a mask? What does WHO recommend?
If you are not sick you do not have to wear a mask.What can I do? – Influenza A(H1N1): frequently asked questions
と、このように、H1N1亜型の感染者ではない人に、マスクの着用を薦めてはいません。
何事も無駄を省き、合理的なことを好むドイツ人には、WHOほどの機関が薦めてもいない、非合理的に思えるマスクが、予防的に着用されることは、マスクの感染症予防効果に関する、科学的なデータが出そろい、これら機関の見解が変わるまでは、ないと思います。(※ただし、H1N1亜型の流行している地域においては、WHOもマスクの着用を「助言」しています(参照:「Advice on the use of masks in the community setting in Influenza A(H1N1) outbreaks」。それから、感染者や、感染者に頻繁に接する医療関係の非感染者がマスクをつけるのは、ドイツでも同じです。)
ドイツにおいて、H1N1亜型感染予防のために、推奨されているのは、マスク着用ではなく、手洗いですね。これは、先ほど例に挙げた、WHOの「What can I do?」にも記されていますし、Centers for Disease Control and Prevention(CDC/アメリカ疾病予防管理センター)内の記事、「QUESTIONS & ANSWERS H1N1 Flu (Swine Flu) and You」にも、手洗いは推奨されていますから。
私も今のところは、手洗いを、いつもより徹底することには気をつけているものの、マスクを着用はしていません。
H1N1亜型のようなウイルス性の感染症について、調べてみたところ、代表的な感染経路として、接触感染(皮膚や粘膜の接触、あるいは手や何らかの物体に付着するウイルスに接することによる感染)、飛沫感染(咳やくしゃみによる飛沫が粘膜に付くことによって起こる感染)、飛沫核感染(空気中に漂う飛沫核を、呼吸によって吸い込んだ際、粘膜に付くことによって起こる感染)の3つが挙げられていました。
このうち、マスクで予防できるのは、飛沫感染らしいです。その点では、マスク着用による、感染の予防の効果もあるのでしょう。
ただし、マスク着用でも、接触感染や飛沫核感染は防げないとのこと。飛沫による感染を、マスクが防いでくれるとしても、飛沫核のような小さいものは、マスクを通り抜けるし、また、飛沫が付いたマスクを触った手で、口や鼻などを触ると意味がないみたいです。
これら3つの感染経路の中で、どれがもっとも感染しやすいかというと、接触感染だとのこと。空気中を飛沫や飛沫核として漂っているウイルスよりも、人間の皮膚などを含む、何らかの物体に付着しているウイルスの方が圧倒的に多いからです。
ということで、マスクの着用よりも、徹底した手洗いの方が、感染を防ぐ確率が高いみたいですね。
と、このような、私が自分の検索力で分かったことから判断して、マスクの着用より、手洗いで感染予防を行うことにしました。
それに、ドイツにおいて、マスクをつけて表に出ることは、相当勇気が要ります。日本に住む外国人ぐらい、周りの人の視線を浴びること間違いありませんから。
ドイツにおいてマスクをしているということは、何らかの菌に感染している人と同義です。したがって、今、マスクをして、表を出歩こうものなら、強い非難のまなざしを浴びることになるでしょう。お店などで、入店拒否されても、文句は言えないと思います。
そもそも、H1N1亜型感染者に限らず、風邪をひいているなど、マスクを必要とするような人が、表に出歩くということ自体、ドイツにおいては、「エチケット」違反です。そういう人は、家から出ないというのが、この国の「習慣」になっています。そのために、病気(風邪、発熱など)による休暇は、どのような職場においても、認められていますし。「病気をおしてまでも出勤・登校する」ことが美徳とされるのは、日本ではあっても、ドイツにはないことです。下手したら、罰金を取られる可能性もあるのでは。
そのようなドイツの習慣を無視してまで、私はマスクをつけて表を出歩くほどの度胸はありません。ということで、感染予防のためには、徹底した手洗いを心がけるだけにしています。
さてさて、日本では、短時間に、これだけ、感染した人が見つかったということは、もう、随分と前から、感染が広がっていたのでしょう。したがって、明日には、感染者数も、倍近く増えているのではないでしょうか。
心配なのは、感染者に対する、日本での報道のされ方です。まるで、犯罪者のような扱いも見られますから。
H1N1亜型感染は、これまでになかった、新型のインフルエンザにかかったというだけで、それ以上でもそれ以下でもありません。いわゆる「病人」なのです。そのことを、忘れない、「弱者」の側に立った報道を、期待したいと思います。
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