ざんくとにこらいきねんひ

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▲Mahnmal St. Nikolai▲

写真は、ドイツ北部の都市、Freie und Hansestadt Hamburg(自由ハンザ都市ハンブルク)にある、Mahnmal St. Nikolai(聖ニコライ教会記念碑)。教会堂のクロッシング部分に立ち、塔を眺めた様子です。

通常、教会のクロッシング部分に立ち、塔の方を眺めても、このような感じで、塔を見ることは出来ません。しかし、このMahnmal St. Nikolaiで、それが可能なのは、身廊や側廊などといった部分の建物が、崩れ落ち、存在しないからです。

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▲Mahnmal St. Nikolai▲

Mahnmal St. Nikolaiの身廊部分に立ち、内陣方向を向いて撮影したのが、上掲の写真です。内陣の屋根部分がない、ということが、良くお分かりいただけるかと思います。

このように、Mahnmal St. Nikolaiは、その名前の通り、崩れ落ちた廃墟のまま、保存されている教会建築であり、教会としての機能は持っていません。

このMahnmal St. Nikolai、既に12世紀には、基礎となるものができあがっていました。その際、Nikolaus von Myra(ミラのニコラウス)を、航海の守護聖人として奉り、このような名前となったみたいです。

その後、1353年に新しく、Alte St. Nikolai(旧聖ニコライ教会/以後St. Nikolai)が建築されたらしいのですが、19世紀半ばまでは、拡張や修復を繰り返します。また、その間、何度か大きな災害に遭いもしたようです。

例えば、1517年に建築された、153mの高さを持った塔は、1589年に火災で焼け落ち、その後、建築された塔も、1644年の嵐で倒壊し、再度1657年に作られた122mの高さを持つ塔も、1767年8月6日の落雷で焼失しました。

と、このように、これだけでも、さんざんな目に遭っていた、St. Nikolaiですが、最終的には、1842年5月5日〜5月8日にかけて、Hamburgをおそった、Hamburger Brand(ハンブルク大火)によって、とどめを打たれます。

ただし、再建への動きは早く、翌1843年には、募金活動が始まり、1844年には、コンペが開かれ、Gottfried Semper(ゴットフリート・ゼンパー/1803年〜1879年)の設計が、再建案として選ばれます。

しかしながら結局、Semperの案は、St. Nikolaiの再建に、採用されることはありませんでした。理由のひとつは、Semperの案が、Hamburgの景観に合わないのでは、という意見が出たこと。それから、ゴシック・リヴァイバルの風潮に乗って、1842年に建築が再開された、Hohe Domkirche St. Peter und Maria(Kölner Dom/ケルン大聖堂)の影響を受け、ゴシック様式での建築を望む声が上がったためです。

結局、後者の声に押され、St. Nikolaiはゴシック様式で、再建されることが決まります。再建は、英国人建築家、George Gilbert Scott(ジョージ・ギルバート・スコット/1811年〜1878年)の手にゆだねられました。

その再建工事は、1846年〜1863年9月27日まで続けられます。その後、1874年には、現在見られるような、147.3mの大きな塔が建築されました。

しかしながら、またもや、そのSt. Nikolaiを、悲劇が襲います。1943年7月28日、Hamburgをおそった空襲で、St. Nikolaiはまたもや破壊されてしまうのです。

戦後、当初、この場所での再建も、検討されたSt. Nikolaiでしたが、結局はこの場での、再建はあきらめ、新しいHauptkirche Sankt Nikolaiは、別の場所に作られることが決まります。

その後、放置されていたSt. Nikolaiは、年とともに、劣化が進んでいくことになるのですが、1987年に、Förderkreis Rettet die Nikolaikirche e.V.(ニコライ協会支援維持協会)が設立され、地下聖堂を展示施設にしたり、塔を修復したりと、戦争遺産としての保存活動が本格化します。

1993年には、塔に鐘がつけられ、また、その後、塔にエレベーターを設置して、2005年9月1日からは、塔の75.3mのところにある展望台から、町の中を眺められるようにしました。

と、このように、Mahnmal St. Nikolaiは、広島市にある原爆ドームのように、戦争の遺産として、戦争の悲惨さを後世に伝える役割を果たすために、そこに残されています。

悲しい場所ですが、Hamburgを訪れた際は、私はなぜか、必ず足を運んでしまいます。


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▲Mahnmal St. Nikolai▲
▲Google マップより▲

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